設立趣旨

水は生命を維持する上で欠くことのできないものです。清浄な水を利用できることで、人は健康で快適な生活を送ることができます。また、水は地域に即した資源でありますので、水をめぐる話題は多方面に及び、人々の関心も高いものがあります。

世界では、安全で清潔な水を利用できない人々が10億7千万人と報じられています。日本では、水道が普及するにつれ、家庭での水は水道の蛇口を開けば出るのが当たり前という高いレベルのサービスが可能になっています。そのため、平常時において、一般の方々の水道への関心は高くはありません。それは、水道事業にとって、健全な事業展開をしている証ともいえますが、異常渇水、地震等の災害、テロに対する備え、今まで知られていなかったリスクへの対応、老朽化する施設の更新など、水道に立ちはだかる課題は少なくありません。新たな状況に立ち向かえる水道事業を構築していくためには、生活用水について、関心を有する人々の共通の場所を作り、情報を集約し、意見を交換した上で、所信を発信するとともに、水道への関心を高める活動を活発化していくことが有意義と思います。

あわせて、生活用水について、日本および世界の人々がどのような努力を重ねてきたかを探り、日本での各地の水道が現在どのような状況にあり、これからの水道サービスをどのように展開していくかについて、水道事業に関係ある方々と住民・利用者、水に関心のある方々の共通の場を作り、情報・意見を交換していくことが、大切なことと思います。水道の役割を考え、理解を深めるために、水道をベースにしながら、生活用水について広く語り合う場を設け、水に関する話題を豊かにすることが水道を担う人々にとっても役に立つように思われます。

私たち水を語る会一同は、我が国の水道の基本法である水道法が設立されて平成19年に50年を迎えたことを機に、生活用水・水道に関心を有する方々を中心とするオープンで、自由に出入りできる交流の場として「水を語る会」を発足させました。

皆様方の積極的なご参加、ご協力・ご支援をお願い申し上げます。

活動方針

会の活動内容としては、おおむね次のことを考えています。テーマについては、水についての多くの側面のうち、水道事業、生活と水、食品と水、農業と水、飲み水、水と健康、工業と水などをとりあげます。協力者の皆様から提供いただく情報や資料をもとに、次のことに取り組みます。

  1. 全国で水道や水に関心を持っている方々の意見交換の場を設け、地域的活動のネットワーク化
  2. 全国の水道事業体が継承すべき、水道技術、計画論、歴史などについてのまとめ
  3. 日本全国(および世界)の水の歴史、水文化等にかかわる施設・地域のリストの作成
  4. 水にかかわる記録映画、テレビドキュメンタリー、水に関連する小説、随筆、偉人伝等の情報整理と、後世に伝えたいことの整理
  5. 将来的には、既存の刊行物を補完するような日本の水道史の編纂も視野に置きながら、日本各地の水道事業の成り立ち、歴史に関する情報の収集

これらの活動は、インターネット上に設定するフォーラムやグループ研究活動にボランティアとしてご参加いただける方々の協力により実施します。とりまとめた情報は、インターネットを通じて広く提供するほか、総会、定例研究会で情報交換を重ね、その成果を既存の定期刊行物に寄稿すること等により、より普遍的な情報発信を追及します。さらに、新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアへの情報提供、協力を行い、普及を図りたいと考えています。