第27回 私の「水」への想い

筆者:坪井智礼

管路管理総合研究所の坪井と申します。
下水道管路施設の維持管理会社の1部門に所属し、小中学校および下水道関連イベントなどで、下水道出前授業をさせていただいております。
水を語る会は、社内人事異動に伴い、昨年から幹事として講演会準備のお手伝いをさせていただいています。

今回、私にとっての「水」に関するお話は、まず故郷の話になります。

私は、現在「東京岐阜県西濃会」という地方会の幹事をやっており、岐阜県西濃地方出身者で現在関東に暮らす人たちと故郷を結ぶ企画をしています。

そして、最近では「地酒」で故郷と都会の橋渡しをする会、”岐阜の地酒に酔う2015”に注目しています。これは2009年にはじまり、今年で7回目となるもので、今回も岐阜県の蔵元、29蔵が一堂に会するもので西濃からは6蔵が出展されて、大変盛況な会になっているとのことです。

【お酒と故郷の水】

仕込み水が命と言われる日本酒造りにおいて、岐阜県西濃地域は、北陸敦賀湾・若狭湾から吹き込んだ冬の季節風が伊吹山系・養老山系にぶつかって、ドカ雪を降らせる豪雪地帯です。積雪量世界一(11.82m)は、滋賀県と岐阜県西濃地域の境界にある伊吹山での記録です。
その雪解け水が伏流水となって揖斐や養老の扇状地を通ることによってできた豊富な湧き水こそが西濃のお酒の原点です。
日本の滝百選、名水百選に選定されており、滝の水がお酒になったという有名な昔話の「養老の滝」も実は西濃地域にあります。

我が故郷の水は、美味しいお酒造りになくてはならぬものでした。

【埼玉と川】

私にとって「水」からイメージするものの一番目は「川」です。

ここで、私が今住んでいる埼玉県の「川」についてひとつお国自慢です。
実は埼玉県は、県土の中で河川の占める割合が日本一なのです。湖沼や用水路などを含めた水辺の割合では、滋賀・茨城・大阪府についで第4位です。
さらに、県内の鴻巣市と吉見町の間を流れる荒川の川幅は2,537メートルあり、日本一です。普段の川幅は数十メートル程度ですが、国土交通省は河川敷を含めた堤防間を「川幅」と定めていますので、このように「日本一」と言えるとのことです。ここにかかる橋、御成橋のたもとと吉見町の堤防には「川幅日本一の標」が建てられています。

【川の水質】

このような河川王国埼玉県ですが、水質は最悪です。河川水質ワースト5の中に常にランクインする「綾瀬川」と「中川」。これらは埼玉東京を流れています。私は関東に引っ越してきて10数年経ちますが、そのうちの10年間は埼玉県人であり、綾瀬川堤防が散歩コースでした。そしていつも思っていました。
「水が汚いなあ」と。

私の会社は、下水道管路維持管理会社のため、水質関連として「BOD」などを学びましたが、いま住む町の環境を見てみようと国土交通省水管理・国土保全局河川環境課の報告書「全国一級河川の水質現況」でBOD平均値を見てみました。

その結果は次の通りです。
いま住む町の河川、埼玉の綾瀬川は「3.7」。
故郷岐阜県西濃地域の河川、揖斐川は「0.7」。やはりという感じでした。

それでは、魚と水質の関連はどうかなのかなと見てみると、
鮎の生息する川のBODは2.5で、「きれいな水」と「少し汚れた水」の境界であります。そして、その数値から、埼玉の綾瀬川に鮎は棲めず、岐阜の揖斐川に鮎は棲めるということがわかります。

【生活を豊かにする川】

上記で見たように、一言でいえば、埼玉の綾瀬川では人はとても泳げません。しかし、私達は綾瀬川の堤防を気持ちよく散歩しています。そして都会の街では、流れもなく濁っている川で釣りを楽しむ人が結構いらっしゃいます。
さきほどの資料には補足として、河川の水質を「きれいな水」と「きたない水」と表現する場合、河川の汚濁の程度の考え方はその利用する目的・用途で異なるという事が書いてありました。

親水目的であれば、BOD 4mg/L以下の河川であれば適しており、修景目的となると、なんとBOD 10mg/L以下であれば適しているのです。

田舎者の私にとっては、「きれいな川」とは「鮎が棲む」川でしたが、関東に住んで少しとらえ方(考え方)が変わった今日この頃です。

話にまとまりがなく、申し訳ありませんが、以上 私の「水」への想いとさせていただきます。

※写真は、濃尾平野。画面左上の雪を頂いた山々の先は敦賀市と日本海
(この写真は、東京岐阜県西濃会ホームページ2015年1月投稿より。
→http://tokyogifuseinou.com/archives/date/2015/01)

西濃会福澤さん写真濃尾平野雪を頂いた山々の先は敦賀市と日本海109-0995_IMG

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