人口減少時代の小規模水道事業に向かって

筆者:坂口 功

現在の大阪広域水道企業団の前身大阪府水道部では、平成10年7月より全量に高度浄水処理施設の導入・稼働を実施致しました。

はからず、その時の村野浄水場 場長を仰せつかっていたのが私で、高度浄水処理施設は導入の検討に始まり、実験・設計・施工等には多くの苦労話やエピソードがありました。その中で、私には忘れられない出来事があり、それは村野浄水場で「大阪府水道部高度浄水処理施設竣工祝賀式典」を高度浄水処理棟で行ったことでした。当日、主催者の代表であった、時の「横山ノック知事」が大阪府警の先導にも関わらず、式典に間に合わないハプニングが発生しました。私は知事との事前打ち合わせの原稿を持ち合わせておりましたので、急遽、松井企業管理者に代理をお願いし、式典を無事終えたのを今も忘れることが出来ません。

高度浄水処理施設も稼働後18年を過ぎました。その後の技術進歩には、目を見張るものがございます。高度浄水処理施設を始め、沈澱・ろ過・薬品注入・排水処理等多くの分野で、水道事業者・大学・研究機関・民間企業の皆様方の弛まない努力により、次々と機材・装置・ソフトウェアの開発等の新しいシステムが構築されました。これらの技術・関係各位により、今後も水道事業をサポートして頂けるものと考えております。

そこで「素晴らしい技術力」にお願いがあります。人口減少時代に入りましたが、予想以上の進行であり、大都市を除く地域では、高齢化が進むと伴に過疎化も進んでおります。こうした地域の人口は多くても数百人で、パイプラインによる給水では高価なので給水車による運搬給水等が検討されております。この地域に住まいされる皆さんは、これまでの歴史や先祖の思い出、地域・家への愛着で離れがたい人が多くおられます。

お願いは、小規模浄水装置・小規模集落の給水システムを①イニシャルコストが安く、②ランニングコストが最小、③維持管理費が少ない、【少量・清浄・低廉な水道システム】を作り上げることが必要と考えます。また集落では、下水においても優れた浄化システムが求められていることも忘れてはなりません。

是非とも関係者皆様の総力で、過疎化が進む小規模集落でも安心・安全に水道水が使え、快適な生活がおくれますように、今後ともご協力をお願いいたします。

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