関西水道記念館めぐり

筆者:左 卓

私ごとになりますが、これまで4年ほど大阪で仕事をしておりましたので、関西の水道記念館なるものを巡ってみました。関西には、京都市の琵琶湖疎水記念館、神戸市の水の科学博物館、大阪市の水道記念館があるのですが、それぞれに特色があり興味深いものでした。

(1)京都市 琵琶湖疎水記念館
ご存知の方も多いと思いますが、琵琶湖疎水の建設は明治18年に始まった京都市の一大事業です。東京遷都により衰退した京都に活力を取り戻すために始まった事業で、琵琶湖の水を京都に引き入れて疏水の水力で工場を興し、水運で物資の行き来を盛んにするというのが第1疏水の計画でした。これにより水力発電が始まり、新たな工場の建設が進み、市内には電車が走り出したそうです。
その後は、明治45年に第2疏水が竣工になり、それにより上水道事業や市営電鉄事業などの都市基盤整備事業が進みました。今でも琵琶湖疎水は現役で活躍しており、記念館のそばには琵琶湖の水が噴水となって噴き出しています。これを目の当たりにするとなかなか感慨深いものがあります。まだご覧になられていない方は、一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
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(2)神戸市 水の科学博物館
神戸市には、奥平野浄水場の敷地内に水の科学博物館があります。こちらは大正6年築の奥平野浄水場旧急速ろ過場上屋を保存したものだそうで、とても歴史を感じさせる風貌です。館内は小中学生向けの教育展示が多いのですが、その中にスマートメーターがあったのには驚きました。神戸市の先進的な取り組みを垣間見た気がしました。
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(3)大阪市 水道記念館
こちらの記念館は柴島浄水場の敷地の中にありますが、現在は一般公開されていません。たまたまですが、3月末に一般公開の日がありましたので覗いてみました。こちらも、大正3年築の旧第一配水ポンプ場を保存したものなので歴史ある建物です。この設計は、関西建築の重鎮である宗兵蔵なのだそうです(私はよく知りませんが・・・)。
館内の展示はこちらも小学生向けなっており、普段は市内の小学生の学校教育に利用されているとのこと。アニメーションやキャラクターを使って、わかりやすく説明していました。係員のお話では、館内は今後リニューアルを予定しているそうです。
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(4)おわりに
琵琶湖疏水記念館はその歴史と壮大なスケールの事業が、水利用の多様性を感じさせるものであり、初めて訪れた私にとっては印象深いものでした。また、大阪市や神戸市の記念館は水道教育の場として活用されており、今後は内部の展示をより充実させていくそうです。水道事業の歴史を学び、多くの人に水道を理解してもらうためにも是非充実させてもらいたいものです。
よく調べると全国には水道記念館がいくつもあるようですので、機会を見つけてほかも巡ってみようと思います。それぞれに特色があるようなので、新たな発見があることを期待して筆をおくことにします。

全国の水道記念館(日水協HPより)
http://www.jwwa.or.jp/anzen/kinen.html#04

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