第24回 水道を使った水力発電

筆者:濱田 督子

ディズニーランドで飲む水道水は発電した後の水ってご存知ですか?

私が学生の頃は「マイクロ水力発電」というと小河川や農業用水につける小さな水力発電のことでした。
日本は急峻な山が多いし水は豊富だし、水力発電は風力や太陽光より歴史もあるし、すごく良さそう!!と思ったのですが、ただ大きい水力発電所を小さくしただけの水力発電所は高コストで、「マイクロ水力発電はこんなに日本に適しているが、経済性がなく発展は難しい。」という論文を書きました。

数年後、派遣社員として入った会社で、川崎市や横浜市等の水道局に設置した水道水を使ったマイクロ水力発電に出会いました。
所詮、会社のCSRかと思いきや、低コスト化を実現し、事業として行っているとのこと。
しかも既設の水道設備を利用した水力発電はダムや水圧鉄管路の代わりに浄水場や既設の配管を使っていて、運転してからはもちろん作るときから環境影響の少ないエネルギーであると知り、こんなに環境に貢献できる仕事はない!と思い、「この仕事がやりたいです!」と猛PRの末、正社員になりました。

そんな私もこの仕事に付いて丸5年。
さいたま市水道局に設置した大宮発電所を始め、この5年間で発電所の数を倍に増やすことができ、「水道発電」もかなりメジャーになりました。
水道を使った水力発電は主に2つのパターンに分かれます。
1つは、浄水場~配水池の高低差や圧力差を利用した発電所(水の多い首都圏タイプ)と、取水口~浄水場の高低差を利用する発電所(原水を利用したタイプ)です。
このほかにも、減圧槽を利用したタイプや、規模は少し小さいですが、同じ場内でPCタンク~配水池の高低差を利用した発電所もあります。
冒頭でお話したディズニーランドには千葉県水道局内に設置した妙典発電所を通った水が配水されています。

最近では、マイクロ水力発電だけでなく、河川を利用したもう少し大きめの水力発電所も再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入と共に脚光を浴び始めました。
色々な方々がこの水力発電事業に参入されており、ライバル会社も増えてきておりますが、弊社の100歳を超える昔ながらの水力発電所を見ると、一事的な再エネバブルより、この可愛い発電所達を長く大事に世話をしていくことが何より大切だと感じています。

最後に「水道発電」の建設をしていると、電気と一緒で常に当たり前のようにある水を「常に当たり前にある」ようにする大変さを実感します。
これからも、1つでも多くの水道発電を設置し、水道発電を通じて水や電気の大切さを広めていければと思います。

私の営業担当1号:大宮発電所(さいたま市水道局内)

弊社の水道発電1号:江ヶ崎発電所(川崎市水道局内)

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