第23回 アブダビ水道事情

筆者:有吉 寛記

昨年末(と言っても旭川水道展の後)に、UAEのアブダビで1月に開催される「第1回国際水サミット(IWS:International Water Summit)」への参加依頼が突然舞い込んで来た。
経済産業省水ビジネス・国際インフラシステム推進室からの要望で主催社であるマスダール公社の要請によるものである。
IWSは、アブダビ首長国のムハンマド皇太子のイニシアチブで始まったイベントで、水資源・水処理関連企業を集めたブース出展や政府高官による会合、技術者同士の討論会等が予定され、中東諸国において最大級のイベントであり、第6回WFES(World Future Energy Summit)と同時に開催されるとのことであった。
既に新年早々には、インド水道協会の総会に併設の水道セミナーへの参加で自分にとって初インドの予定が入っており、参加するためにはデリー空港から直行となる。

しかし、ビジネスチャンス!社長の即決で参加OKを余儀なくされ、同行することと相成った。民間企業ってアグレッシブなんですねー。
以前の職場では考えられないような積極性が求められていることを実感した次第でありました。
2013年1月13日未明、遠路アブダビ空港に到着。
さすがにオイルマネーの国UAE。
ビルも住宅も派手で、特に道路の舗装が完璧なため、前日までの“リキシャ”の乗り心地との差異に戸惑いを隠しきれない。

ただし、アラブ諸国としては今後の石油埋蔵量の見通しに懸念を抱き、省エネルギーサミットの開催をしている。
これまでは金ですべてを解決していたと思えるが、考え方を変えてきているのが伺えた。

水サミット会場のジャパンパビリオンには、NEDOをはじめ企業十数社(中東協力センター内を含めると30社ほど)がブースを出していた。
現在の日本の原油供給国として一位であるアブダビへの経産省の力の入れ方の強さが感じられた。

現地の水事情として気になったのは、浄水方法は100%海水淡水化であり清浄なはずだとのことであったが、ホテルの蛇口を捻ると茶色く濁った水が出る。
また、水道料金は無料であるが一般家庭には必ず貯水槽が設置されている。
現地駐在の水道関係の方に聞くと、給水装置に問題があると言っていた。
導水・送水・配水に加え、給水装置までトータルシステムとして構築・維持管理が必要であると、再度認識を深めたところである。

最後に、転職して早いもので1年を経過し、その間様々な国の水道事情を見させていただきました。
今後は、官学産の連携を深めることで、公人としての束縛にとらわれないコラボレーションにより、日本のみならず世界のNRWの削減に少なからず寄与していければと考えている。



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