第6回 新春の名水を訪ねて

筆者:宮里 章

ここ数年、お正月は家でごろ寝をしながら、テレビを見るのが常であった。
今年は心機一転、名水を訪ねて若水を汲み、いにしえの人たちの水に対する苦労を偲びながら、一年の健康祈願をしたいと思い、同僚や友人に呼びかけたところ賛同してくれたので、その時の模様をご紹介します。

行ったところは、全国名水百選に選ばれた垣花樋川(かきのはなヒージャー)というところです。
垣花樋川は、沖縄本島南部の南城市玉城の高台にあり、遙か彼方には真っ青な太平洋が一望でき、とてもきれいな景色です。周辺には、水田、畑が広がりのどかな感じがします。
近年、訪れる観光客も多く、入り口近くには喫茶店もあります。

垣花樋川の概要:案内板より

天然の美しい川や泉を保全して後世に伝えるという目的で推薦され、昭和60年に環境庁の全国名水百選に選ばれた。百選の中でも最初は全国で31件が選ばれ、これに入選した。垣花樋川は集落の南側にあって、石畳の急な坂道を100mほど降りていくと、左側のうっそうと繁った林の中腹岩根から湧水が湧き出ている。

かつては左側上のイナグンカー(女の川)は女が使い、右側下のイキガンカー(男の川)は男が使っていた。その下流の浅い水たまりはウマアミシガー(馬浴川)、全体をまとめてシチャンカー(下の川)と呼ばれ樋川から流れた水は下の田をうるおし、稲作が盛んであった。垣花村の人々はシチャンカーで水浴び、洗濯、野菜洗い、水汲みをするためカービラ(川の坂)を行き来した。石畳道の途中には女たちが一息入れたナカユクイイシ(中休み石)、イーユクイイシヌヒライサー(上休み石の平石)が残っている。 現在は、簡易水道として地域の飲料水等の生活用水や農業用水として利用されている。

元日の朝、供え物、線香、お酒等準備して集合した。
集合場所は、昨年の3月に阪神水道企業団を退職され、垣花樋川のすぐ近くにお住まいの佐々木さん宅であった。
まず、垣花樋川に行くと、男の川の横に拝所があるので、祈りを捧げ、若水を汲んだ。(写真)。祝詞を読んでいるのは、仮免許(?)を持っている沖縄県企業局配水管理課の米田君である。沖縄では、こういう時の言葉は全て方言でやるのでこれが結構難しいのである。従って、小さな声でぶつぶつ言うのがテクニックのようである。

若水汲みは、以前は結構巾広く行われていたようであるが、現在はあまり見かけない習慣であり、復活の動きもあるようだ。
また、原水は飲めないのであるが、せっかくなので味見をしたら、特にクセはなくおいしい。水質検査の結果をみると、やはり琉球石灰岩のせいで硬度が280と高い。

一通り儀式を終えると、お楽しみの直会・懇親会である。場所は、佐々木さんのお宅を使わせていただいた。泡盛等を酌み交わしながら、時間のたつのも忘れ、一年の健康祈願、水道談義に花を咲かせた。
これで、連続給水記録更新も成就されるでしょう(H21・1・7現在5,425日)。4月から本格的にスタートする「水を語る会」の発展を祈念いたします。

写真付のファイルはこちらをご覧ください。

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