第9回 感謝と報恩への努力

筆者:竹綱 稔也

気が付けば大成機工に入って四半世紀が過ぎている。

最初は、エネルギーの安定供給を目指し炭鉱に就職した。当時原油は、1バーレル20ドルを超えていた。1バーレル25ドルを超えると石炭の液化がペイラインに乗るという話であった。三交代で採炭と掘進の毎日。メタンガスが常に現場を襲い年間7名の殉職者を出した(ちなみに、「重傷者は9名、死亡者は0名」が1ヶ月の目標だった)。

しかし、その後、原油価格は安値で安定し、円高で外炭の価格が安くなったことで、石炭業界はにわかに窮地(本当はとっくに斜陽化していた)に陥った。上司の勧めで炭鉱に見切りをつけ教員を目指したが、結局諦めたそんな折に、大成機工にお世話になることになった。入社して日曜と祝日が休みであることに驚いた。

技術部、四国支店、技術サービスを経て、平成12年東京支店に赴任した。大阪のメーカーは大苦戦の毎日であった。唯一、吉本興業の東京進出で関西弁が東京で受け入れられることにホッとした。

東京に来て9年、ひょんなことから『水道産業戦略会議』のメンバーになった。国内は広域化による活性化、海外は国際貢献と国益還元が課題である。難しい。

大成機工の得意分野は維持管理用の補修材料製造や不断水工事である。そういったものは、ある程度成熟した水道には有効であるが、これから水道を創設するような地域では力の発揮しようがない。しかも、わが社の製品は、多品種少量販売で、どうしてもデッドストックが出てしまう。特に鋳物は水協受検が3年間しか有効でない上に、最近では管路布設年度が分かるように当年製の製品出荷を指定する事業体もあるほどである。

そこで年号切れの商品を購入頂いた事業体にエコポイントを付けることを考えている(あくまでも私案で、構想段階である)。そのエコポイントは国際貢献にのみ還元できるポイントとし、今までデットストックとなっていたものを有効活用することで二酸化炭素の削減と国際貢献が出来る。まさに一石二鳥である。問題は、購入頂けるかである。

そう言えば、わが社の社是は「感謝と報恩への努力」だった。

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