第10回 パリでの身近な水の話

筆者:森本 達男

先日パリに行ってきました。
中世からの街並みが残るマレ地区の古いアパルトマンを借り、1週間ほど滞在しました。
皆さんご存知の通り、パリといえば水メジャーであるVeoliawater社の本社がある街ですが、今回は仕事ではなく休暇滞在だったので仕事のことは忘れ、パリ滞在中での身近な水の話題を報告します。
まず、パリの水は蛇口から飲めます。これがその時の写真です(写真1参照)。アパルトマンのシンクの蛇口から出ている水の写真です。

日本と同じようにその水は、コップに汲んで普通に飲むことができます。
味も異臭味がなくふつうに飲めました。ただし、どうも硬度が高いようで日本の軟水系に慣れている方にとっては、少々お腹の具合がゆるくなる場合が多いようです。
また、言い忘れましたがアパルトマンの部屋はフランス式4階(日本式5階)の部屋でしたが、屋上に給水タンクは見当たらず、昔の暖炉の煙突の名残が確認できたぐらいでした。なので、もしかすると直結給水されていたかもしれません。
次に、アパルトマンの1階には中庭がありそこに共用の足洗い場(蛇口)がありました。
それがこの写真です。

それから、少し話はそれますが、パリ市内での家庭ごみは、分別収集がスタートしたそうでちょうどこの中庭に3種類のごみ集積ボックスがあり、それぞれ不燃物、可燃物、びん用といった具合に種分けされていました。収集日がそれぞれ決まっているようで、日本と同じでした。おそらくごみカレンダーがあるのでしょうね。アパルトマンの中庭や屋内階段など共用部分の掃除にも週に1度民間業者によって早朝清掃されていました。その時清掃業者の方がその共用の足洗い場を利用し、雑巾等の水洗いや床の掃除をしていました。エレベーターがないので階段掃除は大変です。フランス人も朝から働いている人は働いています。

そろそろアパルトマンを出て屋外に行ってみましょう。
次の写真を見てください。

これは、ルーブル美術館脇にあるチュイルリー公園(Jardin Des TUILERIES)の中でみつけた手動くみ上げ式の井戸をみつけました。
上部のハンドルをくるくる回すと、水が溢れてきます。
日本の昔あったポンプ式の井戸とは異なり、初めて見た型式です。回してみてもそれほど、負荷を感じず力のない子供や女性でも簡単に汲み上げることができます。おそらく隣を流れているセーヌ川の水位まで地下水があるのでしょうから、かなり浅井戸になっているからだと思われます。
ちょっと飲めるとは思えませんでした。
ですが、公園内をめぐる小型馬たちの水飲みとしては十分だと思いました。
パリは本当に公園が多く、水と緑の都でした。
昼からベンチでたたずむ人たちも大勢おり、穏やかな時がながれました。

セーヌ川を渡る橋の中央付近で、水を売っている人をみつけました。

500mlペットボトル1本1ユーロでした。
日本のようにどこにでも自動販売機はないことから、こういった人たちも商売として成り立っているのでしょう。
ちなみに1ユーロでパゲットが1本買えます。
30分くらいの間に1~2組の観光客が買っていました。当日は、汗をかくほどの気温ではなかったものの、この売れ行きですから、真夏日の時は飛ぶように売れることでしょうね。
あちらこちらで、パリの人たちもペットボトルに入れた水を持ち歩いていましたが、中身は水道水の人も多いようです。
逆に日本でも同じように水道の水を持ち歩くような文化になるといいと思います。

以上、とりとめのない話になりましたが、水のある町というのはやはりいいものです。
ましてや、蛇口からいつでも飲める水があるということは、旅先での安心感を与えてくれます。いまの日本では、ごく普通の話となっていますが、その有り難さに感謝すべきと改めて感じました。
文化が違っても、水へのこだわりや水との関わり方といったところがすこし垣間見えた今日この頃です。水の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。フランスの水も日本の水も世界規模で俯瞰すると地球の水ですね。

「水を語る会」の益々の発展を!!

凱旋門屋上からシャンゼリゼ大通りを望む

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