第11回 世界の水環境改善に貢献できる日を夢見て

筆者:武村 清和

学生時代は膜処理の研究を行い,水環境改善への貢献という熱い想いを持って,98年に日立プラント建設㈱(現㈱日立プラントテクノロジー)に入社しました。入社後は,研究所に配属され,水処理の研究開発に従事し,早いもので12年が過ぎました。

入社後最初に携わった仕事は,「下水処理への膜分離活性汚泥法(MBR)の実用化研究」でした。現場に張り付き無我夢中で研究開発に勤しんだ日々が懐かしく思われると同時に,日本下水道事業団や他の参画メーカの方々が,会社の枠を超え業界の新入社員として私を暖かくご指導くださったことを心より感謝しております。その当時は,下水のような大規模の排水処理に膜を適用した例は皆無に等しく,実用化は道遠く感じましたが,それが今では世界中の多くの下水処理場でMBRが稼働し,この10年で水処理の中で膜の占める地位は驚くほど大きく変貌したように感じています。

現在は,船舶のバラスト水の浄化装置の開発に従事しており,40日に及ぶ航海を経験するなど,陸とは異なる視点でグローバルに水環境を見つめています。この経験が世界の水環境改善に向け私の大きな財産になると信じています。

余談ですが,私の趣味は熱気球で大空を飛ぶことです。私の師匠は「熱気球は人生そのものだ」と言います。熱気球には舵はなく全て風まかせです。自分に都合が良い風が吹く時もあれば,全く逆の時もある。どんな状況でも自分の考えをしっかり持ち,諦めずにゴールを見据えれば必ず結果はついてくると・・・,さらに立ち止まり風を待つ勇気も必要だと言います。最近,私も師匠の言葉の意味が分かってきたような気がします。

最後に,「水を語る会」が益々発展し,本会を通じ日本の水処理がさらに世界の舞台で羽ばたくことをお祈り申し上げます。

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