第13回 毎日の生活と水道

筆者:馬場 未央

株式会社東京設計事務所の馬場と申します。
コンサルタントとして水道計画や水質調査などの業務をさせていただきながら、水を語る会では、講演会等の準備のお手伝いをさせていただいています。

私は、入社以来、平日はほとんど会社にいるという生活を続けてきました。
そのため、水道の技術コンサルの会社に在籍しながら、あまり水道を利用しない生活を送ってきました。
しかし、昨年、子どもを出産したことを機に、家で育児をする生活となり、改めて水道の有難さを実感しています。

例えば毎日のお風呂ですが、これまで大人だけの生活のときはお湯を張らずにシャワーだけで済ますことが多かったのですが、子どもが生まれてからは、毎日お風呂にお湯を張るため、水道使用量が大きく増えました。
水道局から、水道使用量が大幅に増加したため、問い合わせの電話をいただいた程です。
洗濯の量や頻度も増え、3度の食事も全て家で作ることになったためもあると思います。
また、大人だけの生活ではあまり気にしていませんでしたが、子供の健康管理のために家の湿度にも気をつけるようになり、特に冬は加湿器を使用しています。
これも、今冬の東京のように乾燥する日が続くと、水を毎日のように補充することになります。
また、子どもの口に入るもの(哺乳瓶や食器類の洗浄、離乳食)にも、水道水を使います。

こうして水道の恩恵を実感する生活を送るようになって、改めて感じるのは、水道って便利だなということです。
家にいながら、必要な場所で蛇口を通じて必要な分だけ清浄な水を得ることができる。
ずっとあたりまえに享受してきた便利さですが、水道を多く使ってみて、改めて有難いと感じました。
また、水道水の安全性への信頼についても考えさせられました。
私は、水道水の品質には安心感を持っているので、日常の洗浄等の使用に加え、子どもに飲ませる水なども基本的には水道水(一応塩素だけは除去したもの)を与えています。
しかし、ママ友(同じくらいの子どもを持つ友人)の中には、水道水への不安感を持つ人が圧倒的に多く、水道水を与える人はあまりいませんでした。
特に初めての子どもの育児では、子どもにできるだけ安全なものを、と母親は皆、神経質すぎるくらい願うと思います。
中には「子どもに出来るだけ良いものを」と思って硬度の高い海外産ペットボトル水を与えて子供がお腹を壊したという話もあり、水道水への漠然とした不安感が未だにあるのが現実だと知りました。
いつかこれを安心感に変えることができたら、と思います。

現在、私は、会社と上司・同僚の配慮と協力で、在宅勤務で復職しています。
引き続き、家で水道を利用しながら、水道に関する計画等の仕事をする日々です。
水道使用者として、改めて新鮮な気持ちで仕事に向かっています。

子どもと一緒の生活は、これまでの生活のペースとまるで違い、毎日子供に振り回されて、一日が終わります。
それは、これまで自分にあった自由な時間がなくなることでもありますが、母親の代わりはいないので充実したやりがいのある日々でもあります。
やっと眠った子どもの寝顔を見ながら、この子の未来にも、「清廉にして豊富低廉な水の供給」が保たれているように、足元の仕事を丁寧に行わなければと強く思います。

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