第14回 中南米、アフリカ諸国の研修生と意気投合

筆者:下村 政裕

2011年2月、3年間暮らしたサンパウロに、約7ヶ月ぶりに戻った。
今回の目的は、独立行政法人国際協力機構(JICA)と私の所属先であったサンパウロ州上下水道公社(SABESP)とが、共同で立ち上げた第3国研修(TCTP)第1回無収水管理コースのお手伝いと講師を務めること。
この研修をオーガナイズし運営したのも、講師陣を勤めたのも、皆、私の仲間たち。7ヶ月の隔たりがまったく消え、あたかも継続してサンパウロで暮らし仕事を続けてきたかのような錯覚の中で、約20日間、久しぶりのサンパウロを堪能した。

この研修に参加したのは、ペルーから3名、ドミニカから2名、エクアドルから2名、コロンビアから4名、コスタリカから1名で、以上がスペイン語圏の国々。
加えて、ポルトガル語圏のモザンビークから1名、サントメ・プリンシペから2名、カーボベルデから1名、そして開催地ブラジルから4名(内SABESPから3名)と中南米とアフリカ諸国から総勢20名の研修生。
パラグアイとボリビアからも参加希望があったものの手続き上のトラブルから今回は不参加。

それにしても、サントメ・プリンシペとかカーボベルデとかは、私にとっては始めて聞く国の名前。
自分の勉強不足からくる感覚だが、各国からの多彩な人柄の研修生と一緒にいたこともあいまって、世界はやっぱり広いと一瞬、感じる。

研修で使われた言語は、ポルトガル語。
でも、彼らは、双方をある程度理解できることもあり、スペイン語圏の研修生たちの質問はスペイン語で。
もともと、国が違えば言語が違うのが当たり前と思っている私としては、国がまったく違うのに、言葉の問題がほとんど無い彼らの交流に新鮮な驚きが沸いて出る。
まったく同じ国の人間のように言葉を交わし友好を温めあう彼らに羨ましささえ感じた。
そして、まったく言葉の通じない、日本人である私のことも、何の隔たりも無く仲間に加えてくれた、彼らの気さくさ陽気さに感動。

参加各国、どの国も、安全な水にアクセスできない国民への対応と共に、都市部での無収水が大きな課題となっている。
そんな背景からか、充実した研修内容とあいまって、期待以上の盛り上がりの中で各々の研修が執り行われた。
アジア圏の水道では、今、無収水管理、人材開発そして顧客満足が大きなキーワードになっているように感じていたが、中南米、アフリカでも、都市部の水道では、まったく同じ課題を抱えている。

そして、日系社会を育んでいる南米諸国はもちろん、中米やアフリカ諸国でも、この分野においても日本に対する期待が相当に大きいものであるということをこの研修を通して肌で感じる。
日本がブラジルなどを通してあるいは直接に、これからも継続してお手伝いをしていくことの大切さとその意義を改めて認識させられた。
再び帰国してみれば、世界は狭い、一つなのだとの思いで心は満ち満ちている。

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