第15回 フィジー便り(1)

筆者:小田 弘登

皆様お久しぶりです。フィジーに赴任してから、早くも3ヶ月目になり、今年も師走(12月)を迎えました。皆さん、忘年会でお忙しい毎日と思います。私も昨年の忘年会を懐かしく思い出しながら、仕事?に励んでいます。

ここフィジーでは、11月5日は、ディワリ(Diwali)の日で祝日でした。これは、インド系のヒンズー教徒にとって新年ともいえる大祭で、それまでの1ヶ月は、商店街は安売りセール、家庭では夜に花火をし、日本の年末のように大掃除を行うなど、大賑わいでした。これからは、フィジー系(キリスト教)のお祭りであるクリスマスのシーズンです。一段と町が賑わってくることでしょう。

さて、改めまして、フィジーの概要を簡単に紹介したいと思います。

フィジーの概要

フィジー、正式には「フィジー諸島共和国(Republic of the Fiji Islands)」は、日本から南東へ8,000km、オーストラリアの東3,000km、ニュージーランドの北2,000kmに位置し、日付変更線の西側であり、世界で最も早い時間で、日本との時差は3時間早いのですが、10月下旬から、夏時間が採用され、現在、日本との時差は4時間早くなっています。

フィジーは、大小300以上の島からなり、土地の総面積は、日本の四国と同じくらいで、首都(スバ)、ナンディそして私が住んでいるラウトカのあるフィジー本島(ビチレブ島)の面積は、岐阜県(福岡県+佐賀県+長崎県)とほぼ同じくらいです。

フィジーの位置

人口は、837,000人(2007年)そのうち約60万人がピチレブ島に住んでおり、首都スバの人口は、75,000人(スバの人口は10数万人という資料もあります)、ラウトカ44,000人、ナンディ31,000人です。

民族は、フィジー系57%、インド系37%、その他6%で、インド系は英国植民地時代のサトウキビ労働者の子孫で、現在、経済界の中心的存在です。また、フィジー系は、単一ではなく、メラネシア系、ポリネシア系と多彩であるとのことです。

言語は、英語が公用語ですが、一般的にフィジー系同士はフィジー語、インド系同士はヒンズー語を使用しています。

宗教は、フィジー系のほぼ100%がキリスト教、インド系はヒンズー教、イスラム教などです。(キリスト教:64%、ヒンズー教:28%、イスラム教:6%)

国際空港のあるナンディから首都スバまでは、南側のクィーンスロードで200km(車で3時間半)、便利が良いほうとは思えません。ちなみにフィジーの道路は、幹線道路はアスファルト舗装ですが、穴ぼこだらけ、幹線道路からひとつ中へ入るとほとんど砂利道です。さらに、トンネルはありません。橋は必要最小限度です。そのため、非常に高低差の激しい道路状況です。

首都スバの町並みは、都市の中心部に7~8階建ての建物が数件ありますが、行政機関、マーケット、バスターミナル、それに大使館やオフィスなどが集中しており、郊外には高級住宅が立ち並んでおり、この国にとっては大都会です。

ラウトカの町

ちなみに私の住むラウトカは人口44,000人、首都スバに次ぐフィジー第二の都市で、ナンディ国際空港から北へ22km(車で30分)です。ラウトカの町の南側(ラウトカ水道事務所と隣接して)に1903年に開始されたサトウキビの精製工場があります。町の中には、サトウキビ運搬用のトロッコが走る線路があり、現在(9月~12月始頃)収穫期であり、サトウキビを積んだ専用貨物列車やトラックがひっきりなしに精製工場に運び込んでいます。
町の北側が商店街になっており、平日と土曜日の午前中は写真のように、すごく混雑していますが、日曜日は店も全部閉まり閑散としています。
商店街の東側(山側)は住宅街になります。この商店街の北のはずれに私のアパート(3階建て)があり、付近は車の中古車販売店、板金屋、車のパーツ店が並んでいます。

ラウトカの商店街

平日はエンジンの音、金属をたたく音がひっきりなしです。北側に大きなマンゴーの木が2本あり、この木と軒先の間で鳥が朝から夕方までさえずっています。また夕方から夜にかけては、近くの教会から賛美歌を歌う声、モスクからはお祈りの声、と多彩な音?を聞きながら楽しんでいます。このラウトカの町も、商店街に小さな4階建ての建物が1件あるだけで、3階建ての建物も数えるくらい、あとは全て2階建てか平屋です。

次は食の話です

上記の商店街の写真の左(西)側にローカルマーケット(写真)があり、その中では、果物、野菜、魚などが所狭しと売られています。

ローカルマーケット

週末の金曜日、土曜日はローカルマーケットの周辺でも果物や野菜の出店が出て、大賑わいです。

まず果物です。バナナ、りんご(小さい国光)、なし(小さい洋なし)、パパイヤ、パイナップル、スイカ、そしてマンゴーと豊富です。特にマンゴーの収穫期は今(12月頃)まさに真っ盛りです。マンゴーの木は、商店街、農村、漁村、山村、浄水場内などを問わず住宅などの庭先には、数本必ずあります。こちらへ来てからの食後のデザートは、パパイヤ、パイナップル、マンゴーなど南国のフルーツを楽しんでいます。特にマンゴーは豊富で、現場に出かけたときスタッフと一緒に丸かじりをして、マンゴーの味を満喫しています。特にフィジー人はマンゴーが大好きです。

次は野菜です。なす、キャベツ、チンゲン菜(らしきもの)、にんじん、オクラ、ショウガ、ニガウリ、大根(人参くらいの大きさ)、きゅうり、トマト(小さいもの)、キャッサバ(タピオカ)、ダロ(サトイモの親)と一応豊富ですが、子供の頃の記憶がある素朴な味です。無いのが、ごぼう、レンコン、アゲ、ちくわ、かまぼこなどです。最近、家内はモヤシと豆腐を売っている店を探し出して大喜びしています。

お米は、ロング米が主流です。比較的粘り気のあるもので、カルロス米がありますが、これも結構ポロポロです。今のところ、日本から持ってきたお米を大事に食べています

肉は、牛肉は非常に硬く、もっぱら豚肉と鶏肉です。魚は、近くの漁港に直接買いに行き、マグロ(40cmくらいを三枚におろして)やイワシなどを買っています。あぶらはのっていませんが手に入るだけでも十分です。

皆さん(私も含めて)の最大の興味はお酒でしょう。日本酒、焼酎は手に入りません(ナンディ「観光地」の特殊な店では手に入るそうですが?)。日本から持ってくるときは、紙パックのものをバッグに入れて来て、見つかったら醤油といってごまかし、それでだめだった場合は、没収されるか、税金を払うことになるそうです。ワインは、オーストラリア産やニュージーランド産のものが値段も手頃で買えます。それから、「バウンティ」というフィジー産のサトウキビで造ったウイスキー(55度前後)がありますので、これから観光で来られる方は是非飲んでください。結構おいしい?ですよ!

次は私が毎日愛飲している「ビール」の話です。「フィジービール」という美味しいビールがありました!スバ(首都)とラウトカに工場があり、水道水を供給しているそうです。3種類あり(写真)、ビター(苦味がある)、ゴールド(標準)、プレミアム(ホップがきいている)、大瓶もありますが、375mlの小瓶が人気で、ラッパ飲みが出来ます。

フィジービール(左から、ビター、プレミアム、ゴールド)

私は家では、小瓶のゴールド2本にしています?友達(JICAの仲間)と飲むときは、私もラッパ飲みします。値段は、小瓶でビターが100円、ゴールドが110円、プレミアムが140円と手頃?です。ビールは、他に、ボーヌ(フルーティな甘さがある)、エクスポート(パプアニューギニア産)、ハイネッケンがあります。今度、フィジービール工場を見学に行く予定です。

おわりに

11月末にフィジー本島の北西で発生した熱帯性低気圧がハリケーンとなり、ナンディ・ラウトカをかすめ、南東に行きました。風はそれほど無かったのですが、豪雨が3日くらい続きました。日本でしたら被害が出るくらいの雨でしょうが、被害状況は報道も含めて全然知らされません。現地のスタッフに聞くと、ラウトカは問題ないそうで、ナンディの一部は浸水常襲地帯があるそうです。

仕事につきましては、施設が複雑でやっと概要がわかり始めたところです。その分、問題点も多く、これから、どのように仕掛けていくか?思い悩んでいるところです。

ビールの話に力が入りすぎて長くなりました。今回はこれくらいにして、次回はもう少し生活面を紹介し、年末年始で探索出来るようでしたら観光面も紹介したいと思います。

それでは、皆様にとりまして、2011年がすばらしい年になることをお祈り致します。

*今回の報告は以上ですが、間違い、不適切な表現などありましたら、お許しください。また、皆様のご意見、ご指導など、お待ちしています。

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