第17回 川崎魂

筆者:渡辺 浩一

唐突ですが「川崎魂」という言葉を聞いた事がありますか?

実はこれ、川崎をホームタウンとするサッカーJ1リーグの川崎フロンターレの試合中に選手を鼓舞するためにサポーターが良く口にする言葉であり、その意味は「川崎市代表としての誇り」「川崎市への愛着心」のようなものと察します。

ところで、川崎市は大正13年(1924年)に誕生し、まもなく90年を迎えようとしています。また、それ以前の大正10年(1921年)より近代水道による給水を開始して以来、日本有数の工業地帯として高度経済成長時代を牽引し、発展を続けてきた反面、負の側面として大気汚染や水質汚濁などの公害が起こり、川崎市は「公害の町」、イメージカラーは「灰色」などと不名誉な言われかたをしてきました。しかしながら、この公害克服に向けた取り組みにより多くの環境技術が蓄積され、今では世界的なハイテク企業や研究開発機関が多く集積する先端産業都市へと変貌を遂げています。

また、日本の首都である東京都と近代水道発祥の地である横浜市との間に位置しているこのアドバンテージにより、企業の事業所跡地には東京都のベッドタウンとして高層マンションが建ち並び、ここ数年の人口増加率は政令指定都市の中でトップとなっています。川崎市の人口は市のマスタープランでも平成42年に150万人をも超えるとされ、住みよい町として高評価をいただいています。

このように川崎市が発展してきた要因の一つとして、先人達がたゆまぬ努力により常に低廉豊富な水を継続的に確保してきたからだと考えています。今、我々はこの川崎市の発展に寄与してきた水道システムを再構築する時期を迎えており、次の時代へ確実に安心・安全な水道システムを引き継ぐことはもちろんのこと、川崎市のポテンシャルをさらに引き出せるよう「川崎魂」を胸に水道事業に携わっていこうと考えています。

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