第20回 美しい水源を求めて

筆者:岡本 芳樹

これまで、ただ観光地を慌ただしく回る旅が多かったのですが、勝手気ままな旅をする時間がようやく取れるようになり、「同じ旅をするなら何かテーマを決めて旅をしたい」と色々考えました。悩んだ末、水道の源である「水源」というのをテーマにしてカメラを片手に車で旅をすると楽しいのではと思い立ち、昨年から続けることにしました。(ちなみに昨年は宮崎県の高千穂峡へ)

今年は夏休みを利用して立山黒部アルペンルートから上高地へ。アーチ式の黒部ダムは堤高186m(日本一)で難工事を極めたとのことから、やはり一度は実際に見ておきたいと以前から思っていました。終戦当時の電力不足解消の目的からこのダムを造ることになったわけですが、当時の工事が如何に大変であったのか、行くだけで分かりました。(それはダムにたどり着くだけで大変だからです。)
翌朝は一番のバスで上高地へ。車では入れない等、景観保護のため厳しい決まりがあることは知っていましたが、実際に上高地に入ってみると、ゴミどころか紙くず1つ落ちていませんでした。

ここでは、1.動物、植物、鉱物の採取、2.工作物の設置、3.上高地の景観または自然を損傷し、或いはその保存に影響を及ぼす行為は文化庁長官の許可なく行えないことになっています。(写真)

また景観を守るために「上高地を美しくする会」をはじめ、地元タクシーの運転手さんや旅館の方々が毎週ボランティアで掃除と施設の見回りをされているとのことでした。ルールを決めて、地元密着の生きた管理をすれば、これだけ美しい森林と水を保つことが出来る。国立公園とはいえ1つの理想的な「水源」と感じました。

日本には美しい水資源がまだたくさん残されていると思いますが、これを美しい状態で後世に受け継いでいくことが、日本の水道にとって最も大切なことではないかと感じています。今回は写真のように天気に恵まれませんでしたが、これからも美しい「水源」を求めて旅を続け、水源管理の理想を探ってみたいと思います。

黒部ダム

梓川の清流と河童橋

特別天然記念物 上高地
雨でありましたが、やはり素晴らしい眺めでした。

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