第8回 身近な水道に関する地名①水道路

筆者が所属する社会人アメリカンフットボールチームの練習場所は、鎌倉海浜公園です。映画シンゴジラで第4形態のゴジラが上陸した場所というと、何となくイメージが沸く方もいらっしゃるのではないでしょうか?

自宅から公園までの通り道に、「水道路」という道路標識があり、気になっていたので、その由来を調べてみました。

写真-1 水道路の道路標識

写真-2 水道路のバス停も

さすがインターネットの時代ですね。少し検索したところ、すぐに答えは見つかりました。鎌倉ガイド協会のツイッター(https://x.com/sfXNu9gpuIpY0x1/status/1392633684231028741)によると、横須賀水道路の一部とのことです。

横須賀水道路は、海軍が相模川支流の中津川における半原水源から横須賀市の逸見浄水場まで布設した導水管の上に建設された道路です。水源から浄水場間の延長は約53km。使用した管種は内径500mmの普通鋳鉄管(印籠継手)です。

写真-3 半原取水口(横須賀市HPより転載)

取水口の標高は126m、逸見浄水場の標高は58mで、この約70mの標高差を利用した自然流下で導水しており、水源地から市内までほぼ一直線のルートとなっています。そうなると、当然、丘陵や河川に当たるわけで、ルートの間にはトンネルが12カ所、橋梁が10カ所にかけられています。

写真-4 上郷水管橋(2023年5月、長岡先生撮影)

特に大規模な橋梁は相模川にかけられた約500mにも及ぶ水道管専用の上郷水管橋です。2018年に視察させてもらったことがありますが、視察時点では創設当時の鋳鉄管が残存していました。大正6年という年号、海軍のマークに加え、久保田鉄工所(現在の㈱クボタ)が製造した証である「○久」というマークが鋳造されており、感動したことを覚えています。

なお、半原水源地は原水水質の悪化、水需要の減少、施設の老朽化などの課題を抱えており、2007(平成19)年度から取水を休止し、2015(平成27)年2月末で廃止されています。2018年には地元の愛川町に売却され、町が観光・産業連携拠点として整備・活用する方針です。

全国各地に水道橋、水道タンク、水道みち等々、水道に関する地名は多くあると思います。資料が点在しており、なかなか真相にたどり着くまでには労力を要しますが、水を語る会の会員の皆様も、身近な水道に関する地名に思いをはせ、その由来を追いかけてみてはいかがでしょうか?

地図- 1 水道路の道路標識

図-1 横須賀水道路:緑色の半原系統(横須賀市上下水道局 水道事業・下水道事業マスタープラン(2011~2021)より転載)

作成者 名取 大輔